天使が堕ちるまで２４

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最高ランク : 55 , 更新： 2022/12/18 4:28:00

······出てきた。
おい、堕天使止まれ。

「なんだよ、手短に話せ」

君、何をしに行くの？

「関係ないだろ、どけ」

用事言うまで退かない。

「メンヘラかよ」

よく言われる。やり方がメンヘラかよ、って。

「知らねーよ、お前の事情なんか。＿＿神様に会いに行く。これでいいだろ？どけよ」

やだよ。それに、今さら動いたって無駄。禁忌を犯したのは事実なんだし、黙って姉弟もろとも殺されてよ。地獄でも会えるんだからさぁ。

そーれーに、同族でのいじめは原則禁止。堕ちる前に言えばよかったのに。そうすれば神様が何とかしてくれて、君たちは天使らしくハッピー。めでたしめでたし、ってわけ。

「はっ、しゃーねぇだろ。天使なんか嫌いなんだから」

知らない知らない。いじめを解決してから二人で堕ちればよかったのに。堕ちるかどうかはお前らの勝手だしね。

人間で言う"転職"見たいなもの。

「わからない単語で例えないでくれ」

何でわざわざ禁忌を犯したの？天使の住みかの外なら、会っても誰も怒らないのに。何でわざわざ入ったの？

「俺が馬鹿だから。でき損ないだから」

答えになってないよぉ。わかるかな？ "理由"を聞いてんの。

「＿＿俺は、もう生きる理由がわからなくなったから」

人生を棒に振ったと。

「でも、姉さんは生きなきゃダメだ」

ふーん、そっか。

でもさ、僕が見る限りではさ？君の姉さん、君が大好きでしょ。

「良く言われてたな。大好きだよ、って」

じゃあわかるよね。みんなは誰しも、好きな人に生きてほしいと願っている。

「あぁ、そうだな」

君は姉さんに生きてほしいと、姉さんのためなら命だって投げ出す覚悟でいる。これはいい？

「あぁ」

君の姉さんも、君に生きてほしいと思ってる。逃げ出せるのに看病して、心中だってすると言っていた。

矛盾してるよね。お互い生きてほしいと思っていて、そのためなら死ねると言う。

僕は、ずっとそんな奴らを見てきた。

死んだ人は

あの人が死ぬよりまし

幸せに生きてね

あの人を守れて良かった

と思う。

生きた人は

何で死んじゃったの？

君がいないと幸せになれない

君が死ぬくらいなら自分が死んだ方がましだった

と思う。

矛盾、絶対に矛盾した考えを持つ。

「＿＿それでも、それでも姉さんはっ······！きっと、生きたいと······」

誰かの言葉の保証なんかない。嘘をついていてもわからない。誰が何を考えているか、それはそいつにしかわからない。君のその考えは、いわゆる"決めつけ" "ワガママ"。

「······」

いけばいいさ。僕は死神だ。誰かの死を管理するが、運命は管理しないから。お前が満足するまで足掻けば良いさ。

僕は仕事があるからね。

それじゃ。

精一杯足掻けよ？馬鹿な堕天使君。