天使が堕ちるまで１８

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「どうしたの？」

俺の独り言は、姉さんの耳にも届いていた。そりゃそうか、ほぼ耳元で囁いてるようなものか。
姉さんは心配性だから、俺の独り言でさえ心配してくる。

本当に、何も変わってねぇなぁ。

いや、何でもないとだけかえす。

何でもないはずないと言う返事に、俺は迷った。

······、何でもないよ。それに、後悔したくないだろ？

「それでも良い、私はもう貴方が一人で抱え込むところを見たくないの」

ふぅん、後悔したって良いのか。俺のためなら？あーあ、もう少しペースを下げていれば良かったなぁ。

そうしたら、もっと一緒に居られたのに。

姉さん、お前覚えてないだろ。

「なんのこと？」

俺が、怪我していたときのことだよ。覚えてねぇのか。

じゃあ、先に良いことを教えてやるよ。

俺の独り言『戻れれば良かったのに』は、『～～のに』が使われている。これは、願い事が叶わなかったとき、理想が叶うはずないとき、どうしようもないときに使うな。

つまり、その前の『戻れれば』と良い感じに合わせると？

そうだな、『戻れるはずがない』って意味になる。

戻れるはずがないんだよ。

俺は、この世界のルールを破ったんだ。

どうやったって、もう仲の良い姉弟には戻れないんだ。