↻𝒀𝒐𝒖’𝒓𝒆 𝒎𝒚 𝒗𝒂𝒍𝒆𝒏𝒕𝒊𝒏𝒆

Anti romantic 🎂
今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:325 hit

最高ランク : 8 , 更新:

//px02.nosv.org?src=http%3A%2F%2Fulog.u.nosv.org%2Fuploader%2Ffiles%2F2%2Fa%2F6%2F2a628587624a7b2d221ea5142647fafe.jpg&w=1200&h=&ext=1&zc=


17歳の夏、夕暮れ時。


誕生日祝いだといって

1学年下の後輩ががんばってお金を貯めて
ふわふわピンクの耳の垂れたうさぎの
ぬいぐるみを買ってくれました。


今でも変わらず愛おしくて
大切な、思い出のプレゼント。

当時、これを貰った時に
その彼の誕生日をはじめてたずねたら




「2月16日です…あぁなんてきりの悪い日」



と、


バレンタインに近いその日を
彼はひどく恨めしく思っているみたいでした。

よりにもよってバレンタイン
とびきりロマンチックなイベントに
世の中が浮かれてる中で

わたしと出会ったばかりの頃に、
ロマンチックなんてと顔を顰めていた

そんなアンチロマンチック主義の彼が
産まれてきただなんて とんだ皮肉だ



でもそれが
あまりにも愛おしくて
仕方がなかったような気がする。



「だいたいチョコなんて僕にあげる人も居ないだろうし受け取る気もないんですよ、あんなイベント無くたっていい」



平穏な誕生日を
チョコレートで無駄に甘くしないで。



なんてバレンタインへの愚痴が止まらない彼。

珍しく空気を読んで、
さすがにチョコレートは渡さなかったわたし。


いや、まぁ厳密に言うと、渡せなくなったのか
彼が嫌がる可能性を考慮してビビって
渡しに行けなくなっただけだ。


わたしは魔王だと言われる割には
後輩 たったひとりにすら、
嫌われたくない小心者だから。


“実は自分宛のチョコを用意してた”
それをあとから友達伝に知ってしまった彼は



「用意してくれてたのに知らなくて酷いことを言ってしまいました、ごめんなさい」



そうやって いつもの生意気さからは
思い浮かばないくらい慌てた様子で駆けつけて
謝ってきました。


わたしは特別仲のいい彼の負担にだけは
なりたくなくて、気を遣わせたくなくて、


「いやいや!わたしのチョコなんてゲテモノだからむしろ貰わなくていいんだよ!君が死ななくてよかったよ!」


と精一杯に わたしらしく 笑い飛ばした。
なにごとも笑って解決すればいいものだと思っていました。
だってずっとそうしてきたのだし。


まぁ実際、わたしたちはけっこう誰から見ても相当に仲良しのコンビだったから
チョコ1個受け取って貰えないくらいで
凹むような関係性でもなかったの


チョコレートに左右されなくても
わたしたちは先輩後輩として
どこのどいつより、あそこの名コンビより
ずっとずっと特別で最高だよ


だから別に気にしてないし
彼が申し訳ないと思う理由なんてなかった。



でも彼にとって
その自虐は気に入らなかったみたいで



「せっかく先輩が気持ち込めて作ったものを自虐しないで下さい」



なんて怒りだしました。


まさか怒られるなんて思ってなかったけど、
誰からの感謝の言葉よりも

「わたしのことちゃんと考えてくれてたんだな」

そう感じられて嬉しかった なんて

//px02.nosv.org?src=http%3A%2F%2Fulog.u.nosv.org%2Fuploader%2Ffiles%2F8%2F7%2F1%2F871788e3aa441773d088897fad6e131c.jpg&w=1200&h=&ext=1&zc=

さて、

チョコレートの代わりに、16日になってはじめて
彼の誕生日を祝うことにしました。


ふたつも歳が離れてるのに
わたしより彼はずっと大人びていて

盛大にお祝いするのがすきなわたしとは裏腹に
彼は、誕生日くらいは静かに過ごしたい
と考える人だったので

ちょっとしたプレゼントにメッセージカード、それから直接言葉で おめでとう とだけ

そして、


“来年も祝わせてね”


彼の望み通り静かに終えた
はじめての後輩への誕生日祝い。



「僕なんかのために本当にありがとうございます」



そう何度も言ってすごく喜んでくれたことを
いまでもわたしは覚えていますとも

その日、

卑下して笑わせるよりも
素直に気持ちを伝えて笑ってもらえたほうが
ずっとずっと いいものなんだと気がつきました。





迎えた次の年の2月16日。






毎日のようにわたしにくっついて懐いていた
そんな彼はわたしの前に
もう現れてはくれませんでした。

彼にはわたしの知らない場所で、
打ち明けることのできない
大きな問題があったみたい。


会えなくなるなんて思わなかったし、
チョコを渡せなかったあの日より
ずっとずっと、ずっとずっとずっと、
悲しくて寂しかったし悔しかった。


はじめて誕生日を知った時は
わたしはまだ彼のことを、
よく懐く後輩だとしかおもっていなかったの

可愛いくて、生意気で
わたしのそばに気がつけばいつもいる
ただ、なんでかはわからないけど
そばに居るとすこしだけ安心する後輩



そんな彼のこと、何だかんだ言いながらも
たまらなく愛おしくて仕方がなかったなぁ



でも



祝えなかったこの年までに
わたしにとっていつの間にか
彼は誰よりも1番に
離れたくない大きな存在になって


可愛いだけじゃなくて
後輩としてじゃなくて
もっと特別な存在になってしまいました



ずるいなぁほんとうに、



ロマンチックが嫌いなくせに
どうしてわたしのそばにずっといてくれたのか

花畑思考なのは出会った頃に知ってたはずなのに
彼はなぜわたしを傷つけようとしなかったのか。

わたし以外の先輩たちにはいつも失礼なことを言っては揉め事を起こして衝突ばかりだったのに
わたしのことは本気で一度も悪く言わなかった

それは何故?

呆れながらもわたしが楽しめるようにと
そばでいつも見守ってくれていたし、

わたしが傷つかないように
他人からの攻撃も庇ってくれてたって知ってる


「特別」だとハッキリ言ってくれた


そして
意地悪を言いながらも
わたしの手を離さなかったし
果てにはある日 わたしのことを抱きしめた。



振り返れば出会った頃からずっと
彼との思い出は溺れそうなほど甘いばかりだ


//px02.nosv.org?src=http%3A%2F%2Fulog.u.nosv.org%2Fuploader%2Ffiles%2F9%2F2%2F6%2F926e9240eff5eec744a87bbba6bfb9b3.jpg&w=1200&h=&ext=1&zc=


あまりにも、共に過ごした時間が
チョコレートのように甘ったるかったから




ロマンチックなわたしは
その甘さにときめき、


きっと、


アンチロマンチックな彼は
その甘さに怯えてしまったんだろうか




その甘さが、
ある人にとっては癒しになるが
ある人にとっては痛みにもなるのかもしれないんだと、わたしは気がつきました。



お誕生日おめでとう
今もこれからも、貴方はわたしの特別な人です


ロマンチックに付き合わせてしまって
もし疲れさせてしまっていたならごめんね

気を遣わせてたと思う、わがままでごめんね

それから貴方の寂しさに気づけなくてごめんね





それと、もうひとつだけごめん、




わたしはいまでも
貴方のことがどうしようもなく好きみたいだ



チョコが溶けても 貴方が目の前から消えても
わたしにとってこの日はひどく愛しいから

他の誰かに心を酔わせてしまおうとしても
結局貴方を跪かせてしまいたくなる

わたしは今日もまた
そんなことに気がつきました。






𝐹𝑖𝑛.

伽歩 🂼 (おちゃぺん)


投稿を違反報告 / ブロック



彼に、ぺんちゃんに、幸せが訪れますように。

RB_LiBer@Yunagi🌽
違反報告 リンク


コメントをするにはログインが必要です : ログイン






雑談 ともぼ 御友達募集 友達募集 短文 募集 ペア画 初投稿 イラスト 原神