*未来を大事に

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最高ランク : 10 , 更新: 2023/02/11 4:21:48

※アテンソンヌ
・駄文なんだぜ
・1852年は江戸時代(開国の2年前)
・方言を喋らせたかっただけ
・故の組み合わせである





「へーえ、この子が日本語の子供なん?」

時は1852年。少し前から日本に来ていた地理は、
"日本語"に子供が出来たと聞いてはるばる江戸までやって来ていた。

「そや、この子がうちの子供!」
「名前は?」
「まだ決めてへん!」

キリッとしながら言う姿へ、傍に居た書写が軽く頭をかかえる。
それをチラッと見たものの、地理の目線は日本語の子供だという
少女に注がれていた。

「…というか、決めれないだろう姉上。私達の名前を決めるのはいつだって人間だ」
「そうとも言うなぁ~」

そんなやり取りをしている姉妹、特に日本語の足元。
そこでは人見知りなのか日本語の着物の裾を掴んで
離さない少女が、ずっと地理を見ていた。

地理と少女がしばらく見つめ合う。
やがて少女は恥ずかしくなったのか、日本語の着物へと隠れた。
それに微笑ましく笑いながら、地理はしゃがみこむ。

「なぁにおじょーちゃん。地理おねーちゃんやで~」
「………」

おずおずと着物から顔を出したものの、
地理を見つめたまま少女は何も喋らない。

「あっ、この子まだ喋られへんのやで。…ほら、言語教科のうんぬんからへんので……」
「姉上、うんぬんからh…うんぬんかんぬんじゃわからないだろう。」

呆れた顔をしつつ、ゴホン、と書写は咳払いをした後、
少女を見つめながら話した。

「長く生きている地理さんなら多少知っている…あるいは国語さんや他の言語教科から聞いているだろうが、姉上達言語教科は生まれても存在があやふやな時期をもつ。」

今のこの子がそうだ、と書写は言う。

「姉上…つまり日本語の始まった時期なんて、人間には正確に分からない。つまり人間にハッキリ認識されてないこの生まれたての時期は、言語教科自体も存在があやふやになるんだ」
「書写は生まれた時からうちより自我を持つのがはやかったやんなぁ」
「字を書くというのは記録にも残る鮮明なものだからな。だから姉上より早かったんだろう」
「ほーん…」

その会話を聞き、地理は自分が生まれた時のことを思い出す。

「私も最初の方はわりかし曖昧やなぁ。地理ってことは土地やし最初から決まってるものやもん、わりとしっかりしてる思てんけど…」
「意外だな」
「あっでも、おにーちゃんも確かあやふやだ言うとったで!」
「そら歴史やさかい、それやったらうちの日本史はんだって最初の記憶はあいまいなはずやで!」

そんな会話をしつつも地理の脳裏には
おそらく自分にとって、最初であろう記憶が浮かんでいた。


『………………、……………………………………………』

ぼやけた視界。その視界に黒髪が映えていて。
その黒髪が何かをこちらに向けて呟いていた。
あたり一面が氷で出来ていたのか冷え切っていて寒くて。
そう思った瞬間その黒髪が優しく包んでくれたのを覚えている。

『……………ぶ、……ちゃ…が………て……る………な』

ゆっくり、寒そうに震えた声で何かを呟き続ける黒髪。
ぼやけた視界で、黒髪が何かを呟く度に白い"何か"が見えて。
今思えば、きっと吐息だったのだろうと思う。

『…じ……ぶ、お……ちゃんが……ってあげる……らな』



"だいじょうぶ、おにいちゃんがまもってあげるからな"



幼い頃からずっと兄の傍に居たからわかる。
いつも兄は自分を守ってくれて、助けてくれた。
教科という存在が狙われた時も、必死に守ってくれて。

『ねぇおにーちゃん、なんであの人らおいかけてくるん?いつもいっしょにおる人らの仲間ちゃうん?なんで…なんで武器を持ってるん???』

物理が来るまで必死に自分をおぶり、
追いかけてくる人間から逃げていたときのこと。

『…あの人達はな、地理。悪い人なんだ。だから追いかけてくる。いつも一緒にいる人達の仲間じゃない、敵だよ』
『てき?私らなんか悪いことしたん?なんでおいかけてくる必要があるん?武器なんか持たなくったって、ふつうに話しかけてくれたらええのに…』

それが簡単にいかないことはその時の兄も、今の自分を分かっている。
話せないから、相手は武器を持って追いかけてくる。

『おい、はやく逃げろ!』
『国語!?』

いつもは感情を表に、声にすら出さない国語が珍しく焦っていて、
自分はおぶられながらそれを見ていた。

『物理があの人間の後ろから追いかけて来てくれてる。向こうに生物学と算数がいるから早く!』
『国語は…?国語はどないすんの』
『俺は数学と一緒に物理を待つ。安心しろ、俺や数学はお前らと違って強いからな』

フン、と鼻で笑いながら国語は早く行くよう促す。
言語の総集である国語という教科と、
あらゆる法則の元となる数学という教科。
確かにこの二人なら人間相手に遅れは取らないだろう。


結局この後兄は自分をおぶったまま生物学と算数の元へ行き、
後々国語と数学、そして物理が無事に帰ってきたことを覚えている。

「…まぁ、私らの時代は生まれたとことか、幼い頃やらを知ってる人も教科も昔故になかったけど、今は居るやん。だから日本語、しっかりその子見守っとき。」

ぽん、と少女の頭を撫でながらそう呟く。
彼女にも、これから生まれてくる教科にも、
今は健やかに育って生きて欲しいから。

「言われへんでもしっかり見守んで!伊達に何回も子育ての場面見てへんさかいね!!!」

うちに任して!と大きな声でハッキリと宣言しながら、
日本語もまた少女の手を撫でる。

「…そういや姉上。この子の名前を人間達が決めるとはいえ、彼女が新しい"日本語"になるんじゃないか?名前。」
「え、そうなん?」

きょとんとした顔をする日本語に、書写はほら、と話す。

「大分前まで貿易してた極西の島国…英吉利だったか?あそこでは英語なる言語教科が居るらしいが、あそこは代々その時使われている言語に"英語"と名付けているみたいだぞ」
「まぁ、人間にとってはちょい変わっただけで結局は同じ言語やもん!今まで使っとったモノちゃう新しゅう使うモノに名前を続投させるのは何時の時代も変わってへんで」

地理がそう言うと、日本語は納得したような顔をしつつ、
少女の頭を撫で続けた。母親の手が心地いいのか、
少女は着物を掴んだまま目を閉じている。

「そやけどまぁ、その時は。」


「……その時は、流れに身をまかすしかあらへんよなあ。人間がうちの名前をこの子に付けるかどうか分からへんけど、喜んで名前を明け渡すで、もちろん。」

…あ、そやけどそうなったらうち名前どないしよう?と、
思い出したような顔をして日本語は書写を見つめる。

「どないなるんやろ???」
「ふーむ…そこは名付けて広める人間によるな」
「あれちゃう、日本語やけど日本語ちゃうくなって古なるやん、古いの"古"に言語の"言"で"古語"とか!」
「えっ何それ…」

ふいに日本語の身体が固まる。それを見つめながら書写も
「(古いって直球はなぁ…)」と思っていた…しかし。

「なにそれ…ごつおしてかっこええや~ん!!!」
「いいのか!!!???」
「せやろ、やっぱそのままが一番ええやんなぁ!」
「古語…えらいええ響きやわ~」

けらけらと笑いながら、日本語は少女を抱き上げる。
特に抵抗もせず大人しく抱かれた少女を見ながら、
日本語は呟いた。

「なにはともあれ地理はんの言う通り、この子や、いつか生まれてくる教科の幸先が良いとええなぁ。」
「そのために私達…"古い"教科が居るんだろう姉上。私達と人間でそうするんだ」
「せやせや!何時の時代も"未来を大事に"、やで!」

ニコッと笑いながら、地理は少女を見る。
こちらをぱちくりと見た後、少女はふっと微笑んだ。

「…あ、笑った。」
「うそぉ!えっえっ、今笑うた?今この子笑うてん???どれどれちょいもういっぺん!もういっぺん笑うてくれえええあっあっ笑うた!今笑うたで!!!我が子ほんと可愛ええええ!!!!!」
「落ち着け姉上」

今の笑いで上機嫌になったのか、少女は今も微笑み続ける。
それに興奮する古語と地理を呆れたように見つめながら、
ふと書写は空を見上げた。青く澄んだ、とても綺麗な空。

「(―――未来、か。)」

脳裏に思い浮かぶのは、優しく微笑む女性の顔。

「(…母上、あなたが私達の居るこの時代を導き作ってくれたように……私も姉上も、一緒に時代を作っていきます。だからどうか…)」



どうか、見守っていてください。

しょぅゆ。


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クソデカ感情の二人……w
まぁ可愛い子に微笑まれたらそうならなくもないよね(((お巡りさんこっちです


イカノシヲカラ
2023/01/30 0:46:08 違反報告 リンク


天使の微笑み(幼児時代の従妹を追いかけまわしていた人)

しょぅゆ。
2023/01/30 0:48:03 違反報告 リンク


古語さんって、もともと日本語だったんか……!!
まぁ昔はけっこう、おじいちゃんの名前を子供につける、みたいなことあったらしいしな


あたおかほっとこーき
2023/01/30 4:58:51 違反報告 リンク


そりゃ当時は彼女しか日本の言語なかったし、
新しい言語が生まれるかなんてわからなかったから
人間は日本語って名付けるだろうな~…という偏見からそうしたんw

せやね、外国で例をあげるなら逆に苗字かなぁ。
スミスとかなんとか、確か意味は"スミスの息子"だったり…


しょぅゆ。
2023/01/30 5:17:30 違反報告 リンク


うん、どこが駄文なんだろ()
地理ちゃんの「地理おねーちゃんやで〜」って
言うとこ好きやわ。


꒰ა✞継澪✞໒꒱
2023/01/30 14:32:04 違反報告 リンク


方言素晴らしい✋
見守りたいです見守らせてくださいぐへ(しね)


お皿
2023/01/30 17:11:16 違反報告 リンク


紫月ちゃん

そこ私も好きw


ノレム

お巡りさんコイツです(スンッ)


しょぅゆ。
2023/01/30 19:15:50 違反報告 リンク


とても好きだったのでお気に入り失礼( ^ω^ )
どこが駄文なんすか、、、
まじで好きです(´•ω•̥`)


🙄🙄🙄
2023/02/10 20:27:48 違反報告 リンク


あざざます(ズベシャァ)

しょぅゆ。
2023/02/11 4:18:44 違反報告 リンク


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2023/11/21 3:04:59 しょぅゆ。 2 6

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